片山まび 田代裕一朗
B5判仮フランス装 200頁 ¥5000+税
制作:無盡藏パブリッシング、発売:目の眼 2025年6月初版
目次
巻頭エッセイ
伊藤郁太郎 予兆の色、原質のかたち─朝鮮中期の白磁大壼─
崔淳雨 崔淳雨の眼―《鉄砂葡萄文壺》(梨花女子大学校博物館)を評して
第Ⅰ部 白磁壺の歴史を知る
15世紀から16世紀の朝鮮白磁
Column.1 描かれたハレの壺
17世紀の朝鮮白磁
Column.2 朝鮮通信使から贈られた壺
18世紀前半の朝鮮白磁
Column.3 龍の文様をあしらった壺、「龍樽」
18世紀後半から19世紀の朝鮮白磁
Column.4 朝鮮白磁を飾る民画モチーフ
Column.5 海州白磁の美
第Ⅱ部 白磁壺の評価―近現代の荒波のなかで
Column.6 柳川陽介氏 李泰俊と古玩品
Column.7 李須恵氏 鄭詔文と白磁壺
第Ⅲ部 白磁を語る
伊藤郁太郎氏が選ぶ朝鮮時代の白磁
韓国の視線〈インタビュー〉
張南原氏(梨花女子大学校博物館・館長)
張起熏氏(韓国陶磁財団ミュージアム・本部長)
李準光氏(Leeum美術館・キュレーター)
具本昌氏(フォトグラファー)
日本の視線〈寄稿〉
小倉紀蔵氏(美術史家・京都大学名誉教授) 韓国人と白磁壺
平松洋子氏(エッセイスト) 「白」が育むもの
近藤高弘氏(陶芸・美術家) 白磁-作為と無作為の間に
おわりに
そして私たちは朝鮮白磁を解体し、再生する―現代アートと朝鮮白磁壺
資料篇 朝鮮白磁をもっと深く知りたい方に
広州の窯跡/広州の展示施設案内/朝鮮白磁を訪ねる―韓国と日本の美術館・博物館案内/年表
/用語解説/朝鮮白磁を知る本
◉詳細
「日本では「李朝」の名でも親しまれてきた朝鮮時代(1392~1897年)の白磁。本書のタイトルとした「頌」とは、人徳や功績をたたえること、ほめたたえる言葉や詩歌を意味します。白磁の壺は、すぐれた作り手のみならず、過去から現代にわたる様々な鑑賞者による「頌」によって受け継がれてきました。白磁壺は朝鮮時代の王族や士族(両班)にはじまり、一部は日本の武家にも受け入れられました。近代以降は、日韓の陶磁器研究者、コレクター、文学者、愛好家などに広がっていきます。最近では、朝鮮白磁壺のエッセンスを受け継いだ女性の陶芸家のほか、K-POPのスターが白磁壺を取り上げたことで、にわかに若い世代からも注目を集めています。過去から現代にわたって人々の心を惹きつけてやまない朝鮮白磁。その魅力は、いったいどのように育まれ、また評価されるに至ったのか、本書は最新の学術成果をもとにその魅力を読み解きます。」と著者である東京藝術大学教授の片山まびさんが本書の解説してくださいました。
大阪市立東洋陶磁美術館には「志賀さんの壺」と呼ばれる白磁大壺があります。白樺派を代表する志賀直哉がかつて所蔵していた見事な大壺です。大正時代から昭和初期にかけて文学者や知識人たちの間で、いわゆる「李朝」時代の白磁を蒐集することがブームだった時代がありました。それを牽引したのが宗教哲学者の柳宗悦であり、その柳に「李朝」のモノの美しさを教えた淺川伯教・巧兄弟の存在がありました。彼らによって蒐集された朝鮮時代のモノたちは、1924年(大正13)京城(現在のソウル)の景福宮の中に造られた朝鮮民族美術館に収められましたが、その展示風景は現在の日本民藝館を彷彿させるものでした。柳や淺川兄弟によって発見された「白磁の美」は、現在に至るまで日本と韓国だけでなく世界に多大な影響を及ぼしています。
その白磁の中で、壺に特化したのには訳があります。日本人にとって昔から壺は大切なモノを入れる容器でした。ある時は水、ある時は種子であり金子とその時代によって入れるものは変わりましたが韓国の人たちにとっては壺は使うモノ以上の存在でした。そのことを京都大学教授の小倉紀蔵さんのお話から知ることができました。それもこの本を作る一つの動機となっています。
また、朝鮮時代の白磁が嫌いな人がいるのかと思えるほど日本人は「李朝」白磁が大好きですが、韓国の人にとっては白磁はどんな存在だったのか? そしてそれはどのように受容されて来たのか? と思ったことがこの本を作るもう一つのきっかけでした。内容としては日本と韓国の人たちにとっての朝鮮陶磁器の受容史となっています。




