監修・伊藤郁太郎(大阪市立東洋陶磁美術館名誉館長)
B5判変形並製 224頁 2300円+税
里文出版
2011(平成23)年7月30日初版
◉目次
Special Interview
浅川兄弟と柳宗悦との関係とは何だったのか
高崎宗司(津田塾大学国際関係学部教授)×杉山享司(日本民藝館学芸部長)
朝鮮の美を通して見た夢
——浅川兄弟、柳宗悦と朝鮮民族美術館
土田眞紀(美術史家)
浅川兄弟、その魂の源流を訪ねて
李尚珍(山梨英和大学人間文化学部助教)
Column
浅川兄弟に「寄せる想い」
清水九規(浅川伯教・巧兄弟を偲ぶ会相談役)
浅川兄弟の美のルーツに触れる
李 須恵(高麗美術館研究員)
Column
浅川伯教と八百竹美術店
岡島エミ(八百竹美術店主人)
フィールドワーカーとしての浅川伯教
鄭 銀珍(大阪市立東洋陶磁美術館学芸員)
Column
伯教芸術の片々——『釜山窯と対州窯』
片山まび(東京藝術大学美術学部准教授)
Special Talk
浅川伯教とはいったい何者だったのか
伊藤郁太郎(大阪市立東洋陶磁美術館名誉館長)×熊倉功夫(静岡文化芸術大学学長)
Date
資料で見る浅川兄弟 年譜・美術館・書籍
※肩書は全て出版当時のママ
◉詳細
この本は2011年4月から2012年3月に渡って、大阪市立東洋陶磁美術館・千葉市美術館・山梨県立美術館・栃木県立美術館を巡回展示された「淺川伯教・巧兄弟の心と眼ー朝鮮時代の美」展に合わせて制作しました。その前年、京都の高麗美術館では「淺川伯教・巧が愛した朝鮮美術」が開かれ、私は偶然機会を得てその展覧会を観ることになります。弟の巧のことは多少知ってはいたものの、兄の伯教のこのとは全く知りませんでした。そこで当時の学芸員であった李須惠さんを訪ね、伯教のことを中心にお話をお聞きする中で、翌2011年より大規模な淺川兄弟の巡回展が開かれることを知ります。そこで大阪東洋陶磁美術館の当時の館長であられた伊藤郁太郎さん(現大阪市立東洋陶磁美術館名誉館長)目掛けて、企画書を携え訪ねて行きました。そんな巡り合わせを経て、出来上がったのがこの本です。
内容は2つの対談と4本の論考、3つのコラムで構成しています。手前味噌ですが14年前に作った割には、どのテキストも今読んでも決して古くなく、むしろ読む度に新しい発見があります。
淺川巧の研究や近代朝鮮文化の泰斗と言われる高崎宗二さんと日本民藝館の学芸部長(現専務理事)・杉山享司さんの対談では、淺川巧を理解する上で必要な当時の日韓の政治状況や相互理解について貴重なお話をお聞きすることが出来ました。
また美術史家の土田真紀さんは、三重県立美術館の学芸員時代にご担当された「柳宗悦展—「平常」の美・「日常」の神秘」で、ソウルの景福宮にあった伝説の「朝鮮民族美術館」の展示物調査報告を発表されました。このテキストは当時の模様を伝える貴重なものです。
白眉は伊藤郁太郎さんと熊倉功夫さん(現MIHO MUSEUM館長)の対談ですが、淺川兄弟を軸に、民藝とお茶、西洋美術と東洋美術、近代と前近代など目から鱗が落ちるような話が 次々に繰り出されました。この対談はのちに、伊藤先生のご著書『高麗青磁・李朝白磁へのオマージュ』(2017年、淡交社)にも転載されました。2025年は日韓国交回復60年にあたりますが、この機会にこの本を読み直す意味はあると思われます。
